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エピローグ:Netscapeもバザール方式を受け入れる

自分が歴史の変化に手を貸したと気がつくのは、 なんとも奇妙な感じだ……

1998年1月22日、ぼくがこの論文を初めて発表してからおよそ 7ヶ月後、Netscape Communications, Inc. がNetscape Communicator のソースを無料でばらまく計画を発表した。

http://www.netscape.com/newsref/pr/newsrelease558.html

この発表の前日でさえ、こんなことが起こるとはつゆほども知らなかった。

Netscapeの専務副社長兼技術担当重役のEric Hahnが、発表のすぐ後に ぼくにメールをくれた。こんな文面だ。「Netscape全社員を代表して、 そもそもこのポイント把握を助けてくれたことに感謝します。あなた の考え方と論文が、われわれの決断にあたって根本的なひらめきを 与えてくれました」

翌週、ぼくはNetscape社の招きでシリコンバレーに飛び、かれらの 重役や技術陣との丸一日にわたる戦略会議(1998年2月4日)に出席 した。ぼくたちはNetscapeのソース公開戦略とライセンスをつくり、 その他、いずれフリーソフト(オープンソース)コミュニティに 重大で前向きな影響をもたらすはずの計画をつくりあげた。この 執筆時点では、これ以上細かい話をするのは速すぎるけれど、でも 数週間以内に追って詳細が発表されるはずだ。

Netscapeは大規模な現実世界におけるバザールモデルのテスト機会を 提供してくれようとしている。フリーソフト/オープンソース文化 は、いま一つの危険に直面していることになる。もしNetscapeの やりくちがうまくいかなければ、フリーソフト/オープンソース の考え方自体がダメなせいだと思われてしまい、商業ソフトの 世界はまた10年ほどは手を出そうとしなくなるかもしれない。

一方、これはまたとてつもないチャンスでもある。この動きに 対するウォール街などでの初期の反応は、慎重ながらも肯定的 だった。ぼくたちは自らの力を証明する機会を与えられているの だ。この動きを通じてNetscapeが再び圧倒的な市場シェアを取り戻せば、 それをきっかけにもうとっくに起こっていてしかるべきだった コンピュータ産業の革命が動き出すかも知れない。

この先一年は、非常に示唆的でおもしろい時期になるだろう。


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